ミツバグループは、「ミツバは、ミツバを愛しささえる人々とともに、社会と環境に調和した技術の創造を通して、世界の人々に喜びと安心を提供する」を企業理念として掲げ、数多くの車載電装品を開発・製造・販売し、モビリティ社会の発展とともに、世界の人々に喜びと安心を提供してきました。この理念に基づき、「ミツバビジョン2030」を策定し、電動化への最適ソリューションで、脱炭素社会の実現に貢献し、共に成長し続ける企業グループを目指しています。ミツバグループが将来にわたって持続的に発展していくためには、気候変動の視点を取り入れた経営の更なる推進が必要になると考え、TCFD提言に基づく分析を実施しました。さらに、2023年11月にTCFD(※1)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアム(※2)に加入しました。
今後も、ミツバグループを取り巻く事業環境を認識し、リスク・機会の分析を深化させるとともに、当該分析を経営戦略に活かし、脱炭素社会の実現に向けた対応策を一層推進してまいります。
(※1) TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会により設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する項目について開示することを推奨している。現在は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)がTCFDの開示枠組みを取り入れたIFRSサステナビリティ開示基準を策定し、国際的なサステナビリティ情報開示の基準として運用されている。
(※2) 企業の効果的な情報開示や開示された情報を金融機関などの適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論が行われる場として2019年5月27日に設立。経済産業省・金融庁・環境省がオブザーバーとして参加。
ミツバグループでは、サステナビリティ領域における業務執行会議であるESG会議(議長:代表取締役副社長執行役員)により、ミツバグループが特に解決に注力すべき社会的な課題を重点課題として設定し、目標を明確化、進捗を年4回モニタリングしています。ESG会議における審議事項は、年に2度、経営会議で報告されており、必要に応じて取締役会へ報告されています。
リスク管理については、ミツバグループでは、ESG会議において気候変動含む全社の「事業等のリスク」を定期的(年1回)に洗い出し、発生頻度およびさまざまな影響度から評価しています。その上で、ESG会議の傘下に各領域別に課題解決のための委員会を設置しています。
気候変動への対応については、2021年度よりカーボンニュートラル委員会(委員長:専務執行役員)を発足し、その直下に開発、生産技術、生産、サプライチェーンマネジメントの領域を分けた推進部会を設置して、ミツバグループカーボンニュートラル方針の制定、ライフサイクルを通した製品1個当たりのCO2排出量の見える化、およびサプライチェーン全体でのCO2排出総量の把握・削減に努めています。
環境マネジメントについては、EMS委員会を中心に環境マネジメントの運用、環境保全活動に取り組んでいます。年に1度、全社環境統括管理者である副社長執行役員によるレビューを行い、取り組みの有効性および適切性を確認、経営への影響度が大きい案件についてはESG会議にて決議しています。
BCM(事業継続マネジメント)については、BCP委員会を中心に製品供給義務を果たすための適切な管理体制を整備しています。

TCFD提言では、気候変動に関するシナリオを複数設定し、気候関連のリスク・機会がもたらす組織の事業、戦略、財務計画への実際および潜在的影響を分析、いずれのシナリオにおいても対応策を示すことで、自社戦略のレジリエンスを示すことが推奨されています。ミツバグループでは、下表の通り2つのシナリオを想定し分析を実施しました。それぞれのシナリオ、世界観の概要および参照シナリオは以下の通りです。
| 名称 | 1.5℃/2℃シナリオ | 4℃シナリオ |
|---|---|---|
| シナリオの概要 | ・ 脱炭素社会に向けた移行が加速することにより、気温上昇が産業革命前の水準から1.5℃/2℃にとどまるシナリオ ・主に脱炭素社会への移行リスクが顕在化 |
・脱炭素社会に向けた現状を上回る施策が取られないことで地球温暖化が進展し、気温上昇が産業革命前の水準から4℃となるシナリオ ・主に気候変動による物理リスクが顕在化 |
| 世界観の概要 | ・炭素税の導入や再生可能エネルギーの拡大等、脱炭素社会への移行に向けた政策および法規制等の変化により、企業の対応コストや追加投資が増加する ・四輪車や二輪車市場の電動化が急速に進展し、モビリティに対する顧客の嗜好も変化する |
・脱炭素社会への移行に向けた政策および法規制の導入は限定的 ・四輪車や二輪車市場の電動化は一定程度進むも、その進捗は限定的 ・気候変動の進展に伴い、気候パターンの変化、異常気象の激甚化・頻発化等により操業への影響が生じ、サプライチェーンリスク管理やBCPの見直しの重要性が高まる |
| 主な参照シナリオ | ・ IEA World Energy Outlook 2022, Announced Pledges Scenario(APS, パリ協定の目標達成シナリオ), Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE, ネットゼロ達成シナリオ) ・IPCC第6次評価報告書 SSP1-2.6 |
・IEA World Energy Outlook 2022, Stated Policies Scenario(STEPS, 現状の政策シナリオ) ・IPCC第6次評価報告書 SSP5-8.5 |
上記シナリオを前提に、自動車業界のシナリオ分析および自社の中期経営計画(2023-2027年度)における事業環境認識等を勘案のうえ、下表の通り、ミツバグループが想定する気候変動関連リスクと機会の特定および影響度評価を行いました。特定されたリスク・機会のうち、ミツバグループにとって重要な項目は、「脱炭素社会への移行に向けた政策および法規制(カーボンプライシングとエネルギー)」および「四輪車や二輪車市場の電動化の進展」、「異常気象等の物理リスク」と認識しており、同項目に沿って以下整理をしています。
| 重要な項目 | リスク | 時間軸 | 影響度 | 機会 | 時間軸 | 影響度 | 主に関連するシナリオ | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 脱炭素社会への 移行に向けた 政策および法規制 |
カーボン プライシング |
炭素税導入・国境炭素税導入によるコストの増加 | 短期~長期 | 大 | エネルギー効率の高い生産設備への切り替えによる事業運営コストの低減 生産・物流の効率化による事業運営コストの低減 | 短期~長期 | 中 | 1.5℃/2℃ |
| サプライチェーン全体でのCO2削減要求の高まりによる調達コスト・対応コストの増加 | 短期~長期 | 大 | ||||||
| エネルギー | 各国での再生可能エネルギー拡大によるエネルギーコストの増加 | 短期~長期 | 大 | |||||
| 省エネ・再エネ設備の開発・導入等による対応コスト・追加投資の増加 | 短期~長期 | 大 | ||||||
| 四輪車や二輪車市場の電動化の進展 (技術、市場、評判) |
燃費・ZEV規制等の強化によるICE販売台数の減少、およびICE向け商品需要の減少 | 短期~長期 | 大 | ICEの低燃費化、CO2排出量削減を目的に、車両の軽量化、エンジンの負荷軽減等への貢献 | 短期~中期 | 大 | 1.5℃/2℃ | |
| 電動化等のCASEの進展によるOEMおよび消費者の変化に対応できないことによる売上の減少 | 短期~長期 | 大 | ユーザーへの価値提供を目的とした電動化商品の増加 CASEの進展に伴うモーターの電子制御化による商品付加価値の向上 | 短期~長期 | 大 | 1.5℃/2℃ | ||
| 脱炭素化に伴う軽量化や省電力に対応した新商品の拡大 | 長期 | 大 | 1.5℃/2℃ | |||||
| 脱炭素社会への対応遅れによる、投資家や従業員、顧客等、ステークホルダーからの選好・ブランドイメージの低下 | 短期~長期 | 中 | 脱炭素化への貢献に関する効果的なステークホルダーコミュニケーションを通じた、ESG投資家の支持拡大、優秀な人材の獲得、顧客層の維持・拡大 | 短期~長期 | 中 | 1.5℃/2℃ | ||
| 異常気象等の物理リスク | 異常気象(大雨・洪水等)による本社・生産拠点の被害、操業への影響 | 長期 | 大 | 災害時における安定供給の確保による顧客からの信頼 | 長期 | 中 | 4℃ | |
| 異常気象によるサプライチェーンの寸断により、生産・販売が停止、売上が減少、および原材料、部品の代替調達、ならびに異常気象による世界的なパンデミック拡大等、対応コストが増加 | 長期 | 大 | ||||||
※分析対象:ミツバ単体における国内の輸送機器関連事業、ミツバ関連企業における海外(中国・その他アジアが中心)の輸送機器関連事業
※時間軸:短期→2027年まで(ミツバグループ「中期経営計画(2023-2027)」期間)、中期→2030年まで、長期→2050年まで
※影響度:ミツバグループ事業への影響を総合的に勘案し、大、中、小の3段階
ミツバグループにとって、特に「四輪車や二輪車市場の電動化の進展」については、リスク・機会両面において事業への影響が大きいものと認識しています。このリスク・機会への対応方針としては、短・中期では、電動化への移行期に重要となるICEの低燃費化、CO2排出量削減ニーズに着実に対応して、事業環境の変化に耐え得る財務基盤を強化するとともに、電動車向け新製品の開発投資を積極化し、顧客の多様化など拡販戦略を実行します。長期では、電動車向け製品ポートフォリオを売上・収益の中核に育てる等の取り組みを進めてまいります。
「脱炭素社会への移行に向けた政策および法規制(カーボンプライシングおよびエネルギー)」及び「異常気象等の物理リスク」については、下表の通りいずれもサプライチェーン全体を意識した対応を進めてまいります。
| 重要な項目 | 対応策 | |
|---|---|---|
| 脱炭素社会への 移行に向けた 政策および法規制 |
カーボン プライシング |
【サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減】 ・省エネ設備への計画的な更新を継続 ・設備の電動化や加熱工程の削減、リサイクル材活用等、生産設備の製作・工程設計の段階から源流にさかのぼった改善活動を継続 ・再生可能エネルギー活用(太陽光発電等)の積極推進を継続 ・環境マネジメントシステム(EMS)を調達先等サプライチェーン全体に拡大 ・調達先のCO2排出量の調査や削減策の特定、およびグループ拠点間の輸送に関わるCO2排出量の調査や削減等、サプライチェーンマネジメント全体での取り組みを推進 |
| エネルギー | ||
| 四輪車や二輪車市場の電動化の進展 | 【電動化への移行期に重要となるICEの低燃費化、CO₂排出量削減ニーズへの対応】 ・短・中期では、四輪・二輪ICEの低燃費化、CO₂排出量削減ニーズを着実に捉え、各地域によって異なる脱炭素社会への移行過程を支えるとともに、 製品の高収益化を通じて財務基盤を強化する(成長ポテンシャルのある「四輪:熱マネジメント系、シャーシ系(循環系等)」「二輪:エンジン補器系」等) ・二輪事業においては、ZEVの前段階として見込まれる高濃度エタノール車、FFM車(フレキシブル・フューエル・モーターサイクル)向け製品ニーズへ貢献 【電動化の進展に対応した新分野、新製品の開発・販売拡張】 ・電子制御化ニーズの増加に伴い拡大するモーター需要に対し安定供給を通じて貢献 ・事業ポートフォリオの多くを占める駆動方式によらない既存製品群を四輪・二輪電動車向けにカスタマイズし、新たな市場を開拓 ・電動化ソリューション事業による四輪電動車向け製品(熱マネジメント/ADAS/自動運転向け)等、電動化に対応した高付加価値製品の開発・販売を加速 ・中国・インドのEV・OEMの新規市場を開拓 ・MaaS対応の次世代モビリティ関連への商品やサービス等 |
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| 異常気象等の物理リスク | 【サプライチェーン全体での災害対策の高度化】 ・BCP(事業継続計画)およびBCM(事業継続マネジメント)の構築・実践 ・異常気象等の物理リスク(本社・生産拠点の被害、操業への影響、サプライチェーンの寸断等)に備えた設備投資 ・サプライチェーンマネジメントの強化 ・異常気象によるパンデミック等への対応として、従業員の健康管理や感染症予防など健康経営施策のさらなる推進 |
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当社は、「ミツバグループ カーボンニュートラル方針」に基づき、CO2排出量Scope1およびScope2に関し、2030年までに2018年比で50%削減、2050年までにライフサイクル全体でのカーボンニュートラル達成を目指すことを目標として掲げています。
なお、当社グループ(連結)における2024年度のCO2排出量実績は、Scope1で12,451t-CO2、Scope2で 135,112t-CO2、Scope3で1,777,411t-CO2となっています。ミツバグループ サステナビリティ報告書を用いて毎年開示していきます。
